水性と油性

水性インクと油性インクの違いも、とても重要です。

まずあげられるのが、「乾きの速さ」です。
有機溶剤と水、どちらの溶剤を用いても、色素の定着は水分がなくなることで遂行されます。
有機溶剤であれば「揮発」、水ならば「蒸発」という言葉で区別しています。

消毒アルコールなどを思い出して欲しいのですが、水分が自然に蒸発する速度に比べると、圧倒的に素早く揮発し、素材が乾くのがわかると思います。
ボールペンでも、速乾性は油性に軍配が上がります。
事務的な書類などは迅速に記入することが求められることが多いので、油性でささっとこなした方があっていると、一般的には言えるでしょう。
また、定着=揮発の速さから、テープやペットボトル、プラスチックに記入する場合、油性はすぐに触っても擦れず、利用に適しています。

水性は書き心地の面で優れていると言えます。
ボールペンは、ペン先に小さな球が付いています。これが回転し、表面に付着したインクを、紙面に塗っていくような形になります。
球の回転の良さが、書き心地のスムーズさを決定します。
とすると、粘度の高い油分と、サラサラして粘度のない水分とで、どちらがスムーズな筆走りを実現するでしょうか? 水性ボールペンの方が、なめらかな筆致を表現するのに向いているのです。

この粘度の性質の違いから、「ボテ」と呼ばれるトラブルの発生率も異なります。
ボテとは、筆先のボールを保持するための部品の一部に、インクが溜まってしまい、それが意図せぬタイミングで紙面についてしまうことを意味します。
油性と水性の粘度の違いは、いわばインクの「水はけ」の良さの違いです。
粘度の高い=水はけの悪い油性インクほど、ボールの周囲にわだかまる傾向にありますので、ボテの発生率は高くなります。